永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

名古屋の喫茶文化はモーニングのみに非ず。

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長文原稿、完成!で、昼はお気に入りの喫茶店でピラフ。なんかね、最近はこういう喫茶めしが恋しくて。

私が10代の頃は、今よりも喫茶店が多くて、夜まで営業していた。飲食店の数そのものが多くなかったから、喫茶店は食事する場所でもあった。イタリアンやミート、インディアンなどのスパゲッティやハンバーグやとんかつなどの定食、そして、ピラフもよく食べた。

若い頃は、喫茶店もよく取材した。豪華なモーニングサービスや、ドリンクを注文すると付いてくるおつまみがあると聞いては店を訪ねた。それこそが名古屋の喫茶文化であり、それを全国に伝える使命が私にはあると信じて疑わなかった。

たしかに、ドリンク代だけであれもこれも付くモーニングは喫茶文化の一つであるのは間違いない。しかし、喫茶店を取材していた頃から20年以上が経った今、テレビやネットでモーニングの特集を見ると、気持ち的に萎えてくる。

さんざん取材したので、今さら感もある。それ以上に、ド派手なサービスを提供している店がこの先、5年後、10年後にはたして生き残っているのだろうかと心配になる。かつて私が取材した店はほとんど閉めてしまった。

マスターやママさんの高齢化もあるだろうが、やはり儲からないのだ。しかも、モーニングが豪華になればなるほど利益は少なくなる。それと、消費増税や物価上昇による値上げも客足に直結する。

今でも残っている店は、別に派手なモーニングを出しているわけでもない。メディアが取材するわけでもない。あ、トップ写真のピラフを出している、私のお気に入りの喫茶店は高校時代にはすでにあった。と、いうことは、創業35年以上。これはスゴイことだ。

今日は土曜日ということもあって、カウンター席しか空いていなかった。平日もお昼時には多くの客で賑わっている。人気の秘密を分析すると、まず、メニューの豊富さ。ランチは日替わりを合わせると、なんと、13種類。どれも、喫茶店ならではのホッとする味わい。

料理の味とユル〜い雰囲気が何とも心地よいのだ。だから、私はこの店へ足を運んでいる。今どきのカフェやファミレスでは味わえない喫茶店の魅力とはそういうものではないだろうか。名古屋の喫茶文化も日常生活の中でお茶を楽しむという、ゆとりある心から生まれたものだ。

名古屋の喫茶文化をモーニングでしか語ることができなかった、かつての私自身を恥ずかしく思う。