永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

お客様は神様なのか。

今日は、編集者の山本由樹さんとともに三菱UFJニコスカードの会員情報誌『PARTNER』の取材・撮影。

取材先のリサーチは、ライターである私が担当しているのだが、今回取材した店は、まさにテーマにピッタリの店だった。同時に、これからの飲食店のあり方や人々のライフスタイル、ひいては新たな文化をも形成していきそうな予感がした。

うん、わかりにくいな(笑)。平たくいえば、これからの飲食店は美味しさや心地良さのみならず、「心が豊かになる」ことが求められると思う。

鍵を握るのはやはり、人だ。今や日本特有の「お客様は神様です」という概念は薄れつつはあるが、まだまだ根強く残っているのも否めない。

「お客様は神様です」というのは、あくまでも店側の考えである。客がそれを逆手にとって「お客様は神様じゃねぇのか!」と主張するのはオカシイ。「こっちはカネ払ってんだぞ、ゴルァ!」ってのも同様。店にしてみれば、カネに見合う料理とサービスを提供しているのだから。

そもそも客と店のどちらが上かという考えそのものがくだらなさすぎる。そんなの、対等でしょうよ。肝心なのは、店と客がお互いに気持ちよくなること。例えるなら、ディズニーランドやアップルストアのような感じ。それがこれからの飲食店のあり方だと思う。

取材が終わって、由樹さんのリクエストで栄のジャズ喫茶『YURI』へ。注文をするために「すみませーん!注文いいですか」と、店員さんに声をかけた。すると、

「今、レコードを替えているのでお待ちください」と言われた。そこで「お客様は神様じゃねぇのか!」と受けとるのは野暮ってもの。逆に店主の世界観のようなものに触れたような気がして、実に心地よく感じたのである。1968年の創業から50年以上にわたって愛されているのがわかったような気がした。

もちろん、注文したピラフセットも旨かった。大きめにカットした玉ねぎと薄く輪切りにしたソーセージが入ったシンプルなピラフ。この味を再現したくて家で何度もトライしたものの、どうしてもできなかった。あの空間と音楽の中で食べるから格別なんだろうな。