永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

店も成長する。

名古屋市をはじめ、東海地方では有名な『中国料理 浜木綿』。あっ、そういえば昨夜、福田ちづるさんが「昔、『浜木綿』のオーナーが女優の浜木綿子だってウワサ、なかった?」と言っていたな。関係ありませんから(笑)。

『浜木綿』は、ちょっぴり高級な中華レストラン。高級ホテル内の中華を頂点だとすると、立ち位置は↓こんな感じになる。

高級ホテル内中華 > 浜木綿 > バーミヤン、餃子の王将、大阪王将

この絶妙な立ち位置。しかも、郊外にあり駐車場も完備しているので、主にわが家も家族の誕生日や結婚記念日に利用している。

『浜木綿』は、一昨年の7月に町中華業態の新ブランド『中国食堂 はまゆう』をオープンさせた。町中華のブームを受けてのことだろう。ランチのメニューにチャーラーがあったので、『おとなの週末web』で紹介した。

otonano-shumatsu.com

私の中で『浜木綿』の評価が高いため、かなり期待して店へ行ったのだが……。感想は、記事から引用する。

これが町中華の味なのかといえば、首を傾げたくなる。あっ、これはあくまでも個人的な見解だが、町中華の魅力は、マーケティングでは分析できない、いや、分析しようがない「大雑把さ」にあると思うのだ。『大阪王将』の街中華モデルが成功したのは、もともと大衆向けだったからだろう。

『浜木綿』は1967年に瑞穂区新瑞橋で町中華からスタートしたという。高級中華へ路線変更して、客を掴むまでは苦労の連続だったに違いない。しかし、ここで再び町中華に原点回帰するというのは、さらに料理のレベルを上げることよりも難しいのではないか。『中国食堂 はまゆう』が今後どのように進化していくのか見守っていきたい。

容れ物(店)こそ町中華ではあるものの、中身(味)は高級中華のまま、というのは言い過ぎか。高級中華の味がリーズナブルに楽しむことができるのだから喜ぶべきかもしれないけど、私が求めているのは町中華の大雑把さなのでこういう書き方になってしまう。

さて、ここからが本題。先日、『中国食堂 はまゆう』の前を通りかかった。お昼時でもあったので、入ってみることに。

注文したのは、チャーハンをメインに焼売(または餃子)とスープ、小皿料理が付く「チャーハン定食」(869円)のチャーハン大盛(+220円)。

案内されたカウンター席からは厨房内がよく見える。なんと、調理スタッフの大半は女性だった。中華ならではの強火でガンガンに中華鍋を振るのも女性。オーダーが入ると、手際よく調理して、次から次へと料理が出来上がる。それを見ているだけで楽しい気分になった。

接客も良く、客が店へ入ってくるたびに「いらっしゃいませ!」という声が店内に響く。接客スタッフだけではなく調理スタッフも厨房から声を出していた。何というか、一体感が客である私にも伝わってきた。

で、「チャーハン定食」が運ばれた。まず、チャーハンを頬張る。あれ?以前は高級中華のバイキングで出されるような上品な味だったが、町中華っぽいワイルドな味わいになっている。かと言って、途中で食べ飽きるほど濃くもない絶妙な仕上がり。

焼売も肉々しく、タケノコやニンジンなど具沢山のスープも旨い。小皿料理は、茹でた鶏肉とネギの和物。これも箸休めにはぴったりだった。

『中国食堂 はまゆう』の1号店がオープンしてから1年半。取材する側はとかくレッテルを貼ってしまいがちだが、店も人と同様に成長するということを気付かされた。