永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

チャーラーの旅。33

町中華とラーメン屋、食堂と、チャーラーは大きく分けて3種類に分類できる。中でもいちばんハズレが少ないのは町中華のチャーラーだろう。どの店で食べてもソコソコ旨い。ラーメン屋や食堂のように際立った個性がないといえばないが。

写真のチャーラーは、小牧市にある『中華ファミリーレストラン  ささかつ』のランチメニュー「炒飯+ラーメン」(770円)。1年ほど前にインスタで見かけたのをきっかけに、4回ほど足を運んだ。

ここは小牧市といっても犬山市との境にあるので自宅から30分以上はかかるのだが、わざわざ行くだけの価値は十分ある。店の公式HP

中華ファミリーレストランささかつは、創業70年以上の歴史があるお店です。

初代店主は名古屋の笹島で開業し、岩倉にも出店しました。ささかつの名前は笹島の「ささ」と初代店主の妻勝子さんの「かつ」から名付けられました。2代目店主は小牧の野田町で出店し、昭和60年に現在の池之内に移店。平成24年5月に3代目店主に世代交代しました。

初代からの味を大切にしながら、新メニュー作成にも力を入れています。

とある。なんと、創業70年以上の老舗だったのだ。しかも、現在厨房で腕をふるうのは3代目の店主とのこと。平成24年ということは、2012年。10年前だ。25歳で店を継いだとして35歳?

まぁ、それはよいとして、後継者不在で閉店を余儀なくされた町中華が多い中、きちんと事業継承していることが何よりもすばらしい。

チャーラーに話を戻そう。まず、ラーメンからチェックしてみよう。

これがラーメン。具材は、チャーシューとメンマ、モヤシ、ネギ。もうこれ以上ないほどのシンプルさ。特筆すべきは澄みきったスープ。これがゴクゴク飲めるほど旨いのである。しつこさがまったくなく、食後に喉が乾くことがない。子供の頃に近所の中華屋で食べたラーメンの味そのものなのだ。

それと、細めでやや縮れのある麺。黄色いのは卵を練り込んでいるからだろう。これがいかにも町中華らしい。卵麺は今どきのラーメン屋ではほとんど見かけないもんね。

バラ肉を使ったチャーシューもかなりレベルが高い。やわらかくて味がしっかりしている。丼一面に隙間なく敷き詰めたチャーシュー麺が食べたい。いや、チャーシュー丼もいいな。

チャーシューが旨いということは、刻んだチャーシューが入った炒飯が旨くないわけがない。っていうか、上にのるグリーンピースと添えられた紅ショウガの、このビジュアルだけで100点満点なんだけどね。

炒め具合はパラパラ系ではなくて、しっとり系。お米の一粒一粒にしっかりと味が染みていて、噛むとお米の甘みと相まってムチャクチャ美味しい。もう、この瞬間が永遠に続いてほしいとさえ思う。

この炒飯にゴクゴク飲めるラーメンのスープを合わせると、味の掛け算どころか二乗になる。もはやこれは異次元の旨さだ。チビチビとスープを飲みながら無限に食べられるもん。

町中華のチャーラーゆえに際立った個性はない。でも、それはラーメン屋よりも劣っているとか、マイナスな意味ではない。むしろ個性をいかに消していき、人々の心の中にある中華屋の原風景に迫ることができるのかが鍵となるのだ。その観点から、ここのチャーラーは、まさに王道中の王道だといえよう。