永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

三井会。

昨日のブログに書いた通り、今日は講演会。

主催は愛知県一宮市にある三井食品工業様を中心とした全国の漬物メーカーさんや資材業者さんの集まり「三井会」。

無類のご飯好きである私は漬物も大好物。ゆえに今回のオファーは本当に嬉しかった。

講演の内容も漬物に寄せようと思って組み立てた。大前提として、漬物もまたローカルフードであると位置づけて話すことにしたのだ。だからテーマを「ローカルフードのこれから」にした。

講演の中で反響があったのは、私が名古屋めしライターを辞めたワケ。これについては過去のブログに何度も書いているので、↓これらの記事をご覧ください。

nagoya-meshi.hateblo.jp

nagoya-meshi.hateblo.jp

nagoya-meshi.hateblo.jp

nagoya-meshi.hateblo.jp

早い話が「つけてみそかけてみそ」をつけた冷食のとんかつも、肉や衣、油、味噌ダレにとことんこだわった店の味噌カツも「名古屋めし」になってしまうことへの強烈な違和感に耐えられなかったのである。

漬物メーカーさんの話に戻そう。まず、皆様は漬物をどこで買っているだろうか。私も含めて近所のスーパーで購入している人も多いと思う。

スーパーの店頭に並ぶ漬物は、スーパーから「これくらいの価格で」という条件をつけられて作ったものだという。つまり、メーカーとしてやれることは限られるということだ。

とくにキムチは、漬物の中でも売れている商品ではあるが、「漬けずに」熱処理を施して味をつけているものばかりらしい。これは日本が独自に考案した製造法らしく、それが韓国に伝わり、同じ製法で作ったキムチを「本場の味」としてわざわざ輸入している日本の業者もいるというから驚く。

この漬物業界の構図を私に当てはめると、「1万円で写真を撮ってほしい」と言われるようなもの。その場合、照明機材やプロ仕様のミラーレスカメラやレンズを使わずにiPhoneで、ということになる。まぁ、そんな仕事は受けないけどね。

本当に美味しい漬物を作る技術があるにもかかわらず、それを発揮する場がないのだ。

勘違いして欲しくないのだが、スーパーが悪いわけではない。スーパーも確実に売れるものを並べたいと思うのは当然だし、スーパーで働く人々の生活も守らねばならないから。

では、誰が悪いのか。それは私を含めた消費者ということになる。安さを優先するあまり、漬物メーカーさんが自信を持ってオススメできないものを食べているのだ。このままでは漬物という食文化を消失しかねない。

三井食品工業様は持っている技術のすべてを注ぎ込んだ商品を本社前の直売店『三井宮蔵(みやのくら)』で売っている。↑この写真がそれ。

講演会終了後の懇親会でその漬物を食べさせてもらった。それが漬物の概念が変わるほど美味しかったのだ。とくにキムチの旨いこと!やさしい辛味が来た後にほんのりと甘い。焼肉と一緒に食べたら美味しいだろうなぁ!

懇親会では、本当に多くの方々と名刺交換をして、いろんな話をうかがった。明日は名刺交換をした方に御礼状を書こうと思っている。

「三井会」の皆様、本日はありがとうございました!とても充実した、楽しい時間を過ごすことができました。