永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

投資。

私と同世代の中には孫がいる人も珍しくはない。友人の息子夫婦は結婚して4年になるが子供はいない。不妊とかではなく、「こんな時代に子供を育てても、きっと不幸になるから要らない」ということだった。

この夫婦の考えは決して特異なものではない。私の次男も同じようなことを言っている。2人の子供を育てた経験から、子供はいたほうがよいと思っているし、息子たちのおかげで私自身の人生がどれだけ豊かになったのかわからない。

しかし、この夫婦の考えに対して、明確な根拠を持って否定できる人はいるだろうか。彼らを説得するコトバが私には見つからない。

では、「こんな時代」にしたのは、いったい誰なのか。政治家を選んだ私たちや選ぶのを放棄した私たちではないのか。

このままだと、本当にこの国はヤバイことになる。知っての通り、私は政治や経済の専門家ではない。詳しいことは何もわからないけど、思ったことを書く。

岸田首相は、政権発足時に「所得倍増」を掲げたが、いつの間にか「資産所得倍増」にすり替わっている。早い話が、「給料は上げないけど、今持っているお金を投資で増やしてね♡」ということ。

投資には必ずリスクが伴う。失敗して一文無しになったとしても誰も助けてはくれない。ゆえに、リスクを負っても生活に困らない高所得者層しかメリットはないだろう。となると、ますます格差は広がっていく。結局はアベノミクスと何ら変わらない。

この国唯一の資産は、人である。投資をするなら人にすればよいのだ。つまり、高校と大学を無償にするのだ。いくら学びたいと思っても、お金がなくて断念せざるを得ない若者も多い。

「大人になってからでも学びたいときに学べばよい」というのは嘘だ。私の長男は大学卒業後、大学院へ進み2年間学んだ。しかし、本心ではあと3年間みっちりと研究して博士号を取得したかったのではと思う。息子は絶対に言わないが。わが家にもう少し財力があればと思う。

言い方が悪いが、高校と大学を無償化しても芽が出ない人も当然出てくるだろう。でも、それによって誰が損をするというのか。この国の未来を明るくするには、人材育成しかない。

もうすぐ選挙がはじまる。私はカジノ誘致や水道民営化(しかも外資)などを掲げる自称保守政党には間違っても票を投じない。彼らはいったい何を守りたいのか。逆にこの国の国柄をめちゃくちゃに壊しているではないか。

10年後、20年後のこの国のグランドデザインを描くことのできる政党や政治家に託したいと思っているが、果たして存在するのかが疑問だ。