取材のコツやテクニックを人に教えることができたら、セミナーやワークショップができると頭の中を過ぎったことがある。
しかし、私自身、コツやテクニックを駆使して取材をしているわけではないことに気がついて断念した。いや、逆に私の方がコツやテクニックを教わりたいくらいだ。
編プロ時代に社長から言われた、たった1つのことをしているだけ。それは
「しつこいくらい根掘り葉掘り聞く」ということ。
だから、取材をしていても頻繁に話が脱線する(笑)。グルメ取材であれば、メディアで紹介する店やメニューの詳細がわかれば記事を書くことができるのに、店のコンセプトやメニューを考案した人の方が気になり、その人の生い立ちや料理に対する考え方まで聞いてしまう。本当に効率が悪いったらありゃしない。
でも、それが取材の楽しさだと思うし、店やメニューのバックグランドにあるものを知ることで、ただ単にメニューを紹介するよりも記事に「厚み」が生まれると信じている。
では、取材にコツやテクニックは要らないとすれば、取材に何が必要なのだろうか。
取材とは、取材する側の人格と取材される側の人格とのぶつかり合いであると私は思っている。だから、相手の喜びや怒り、悲しみに共感できる心を養うことが必要だ。
今、法人化に向けて、手続きをしている最中だが、それと並行して、もっともっと私自身の人格を磨かねばならない。法人化して、多くの利益を生み出すだけではなく、さらにその先には経営理念にある「世界ヲ明ルク」する使命があるのだ。