永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

立ち位置。

私の仕事場には、大きな本棚があり、隙間なくびっしりと本が並んでいる。仕事柄、やはり本を読むのが好きで、仕事の資料として買った本よりも、むしろ仕事には関係のない本のほうが多い。

今となっては私の黒歴史そのものだが、『正論』や『Hanada』に寄稿している人たちの本も数多く並んでいる。とても恥ずかしい。

これでも私なりにこの世の中を変えるにはどうすればよいのか考えていて、当時は間違った方向に舵を切っていたのである。

あるときから、大上段に構えて天下国家を語るよりも、例えば、今日食べるものがない人や、進学したくてもお金がなくてできない人に目を向けることの方がよっぽど世の中を正しく変えることができるのではないかと考えるようになった。

カメラマン(ライター)という取材者であり、表現者である私自身の立ち位置もそれと同じで、これまでは「名古屋めしを世界に!」というスローガンの下で活動をしてきた。

しかし、今は違う。食事代に同じ千円を払うなら、そっちよりもこっちを選んだ方が心が豊かになるという小さな幸せを伝えたいと願っている。

コスパとかタイパというのも少し、いや、だいぶ違うな。金額は500円でも千円でも1万円でもよい。書いた通り、心が豊かになることが重要なのだ。

私が撮った写真や書いた記事で人様の人生に影響を与えようなんて気はまったくない。記事を読んでいる5分、10分が楽しい時間になればそれでよい。それが私の立ち位置である。