永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

ロングセラー商品の秘密。

マーケティングに基づいて新しい商品が開発されたり、新たな店がオープンしたりする。とくに珍しい話ではない。いや、今はそれがスタンダードかもしれない。

しかし、いくら大ヒットしても、それらを真似た二番煎じが出る頃には人々に飽きられてしまう。少し前に流行った某店のフルーツ大福やフルーツサンドがよい(?)例だろう。いずれも私は取材しているのであまり多くは語りたくないが。

一方、人々に長く愛されている、ロングセラーの商品は真似をしようと思ってもできない。不思議なことに作り方を聞いても、レシピを見ても同じものはできない。唯一無二の存在なのだ。

何よりも作り手である店や会社の人たちが商品を誇りに思っている。愛情がハンパないのだ。それが商品を売るための原動力となるし、買うお客にも商品への愛情が伝わるから、ロングセラーとなるのだ。

昨日の静岡市での取材で、現場責任者でもある常務がこんなことをおっしゃっていた。
「味のチェックのために毎日食べていますが、そのたびに美味しいなぁって思うんですよ」と。しかも、満面の笑みで。

このコメントを引き出すことができたとき、私は心の中でガッツポーズ。商品の人気の秘密について、もう、これ以上のコメントはないと思った。あとはライターである私がどのように言語化するかということ。頑張らなくちゃ。

AIもまた同じこと。過去のデータを収集して、それらをまとめることはできるし、得意かもしれないが、唯一無二の新たなものを創り上げることはできない。少なくとも今のところは。

余談だが、効率を究極的に求めれば、人は心を無くして、機械にならなければならない。実際にそんなことはできるわけがない。それでも求められるから、無理が生じて心を病んでしまう。まったく馬鹿げた話だ。

人は余計なことばかり考えている。おそらく、私は毎日70%くらいはいらんことを考えている。でも、それは新たなアイデアを生み出すのに必要なこと。数字では表すことができないことが大切なのである。