永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

日はまた昇るのか。

日本から飛び出して海外で働く若者が増えているというニュースを読者様も見聞きしたことがあるだろう。日本での時給が1000円〜1200円なのに対して、海外では2倍〜3倍。まったく夢のような話だ。

しかし、それはごく一部の若者のことだと思っていたが、今日訪れた私のよく知っている店で働いている若者たちも海外で働くことを目標に頑張っている。

その店は今年7月に海外へ初進出。昼から夜まで営業時間内はずっと満席状態が続き、10回転はするという。

今年12月と来年2月にも海外に新しい店舗がオープンするそうで、日本から従業員を派遣する。その給料はなんと、50〜60万円。日本の倍以上である。数年働けば、まとまった額の貯金もできる。

お金がすべてだとは思わないが、結婚するにも子どもを育てるのにもお金がかかるのは事実。もう、若者たちにとって日本は夢も希望もない国になってしまったのか。逆に、どうすればよいのだろうか。

世界を席巻した自動車産業も今となっては昔の話だし、パソコンやスマホのハードもソフトもほとんどが外国製。

店主と食事をしながら話をしていて、食後にコーヒーを飲んでいたときのこと。

「今、このテーブルの上にあるものの中でメイド・イン・ジャパンのものってありますかね?」と店主。テーブルの上にはコーヒーカップとソーサー、クッキー、私のミラーレスカメラ、メニューブックが置かれている。

コーヒーカップとソーサーは中国製で、クッキーはベルギー製。ミラーレスカメラはソニーだが、製造はタイの工場。メニューブックは中国製。となると、日本製はメニューブックの中の紙くらい。

60代以上の人はよく「日本には高い技術力がある」と言うが、言っている人がそう思い込んでいるだけではないのか。製造業に頼りきりだった日本の産業を変える時期に来ているのではないか。

私が尊敬していたコラムニストの勝谷誠彦さんはアルコール中毒で亡くなった。アル中の治療の第一歩は、患者自身がアル中であることを認めることといわれる。勝谷さんは最期まで認めなかったために治療も受けられずに亡くなった。

それと同様に、この国を動かしている政治家や経団連のお偉方も、まず日本がすでに経済大国でもなければ、先進国でもないことを自覚すべきだ。その上で、この先どうやって食っていくかを考えるのだ。

「増税メガネ」がトップに居座っている以上、無理な話かもしれないが。