永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

ピラフ論。

先日、取材で岐阜へ行ったとき、BMしておいた『洋食喫茶 かまた』で昼食を摂った。「鉄板ナポリタン」や「オムライス」が人気のようで、私の周りの席の客のほぼ全員が注文していた。

私は来る前から決めていた。「エビピラフ」一択である。チャーハンが好きであることは、読者の皆様も「チャーラーの旅」ですでにご存知だろう。実はピラフも同じくらい好きなのである。

しかし、最近ではピラフを置いている店が少なく、食べる機会がめっきりと減った。まさにグルメ界の絶滅危惧種、“絶滅危グルメ”なのである。

最近、オムライスはSNSでバズっている。ケチャップライスの上にのせたオムレツにナイフを入れて、パッカーンってやつね。また、鉄板ナポリタンの人気も根強く、もはや不動の地位を確立したと言ってもよいだろう。

そんな中、ピラフは一度もブームになったこともなければ、バズったこともない。いわば日陰者である。だからこそ、私はスポットを当てたいと思っているのだ。まぁ、地方のライターの私ごときがブログに書いたところで何の影響も与えないだろうが。

さて、ネットの情報によると、『洋食喫茶 かまた』の創業は、1948(昭和23)年。ということは、今年で76年目。現在の店主の祖父が『レストラン かまた』として開店させた。その後、父親が後を継いで『コーヒー喫茶 かまた』を経て、『洋食喫茶 かまた』となり現在に至るという。

岐阜も一宮や名古屋と同様に喫茶店王国であり、『コーヒー喫茶 かまた』時代には隆盛を極めたことだろう。注目したいのは、もともとレストランとして営業していた点だ。ゆえに、今でも鉄板ナポリタンやオムライスが人気なのだろう。

さて、「エビピラフ」の味だが、お米の一粒一粒に油と調味料が見事にコーティングされていて、洋食店ならではの上品な味わい。大ぶりな海老もゴロゴロと入っている。

しかし、私に言わせりゃ旨すぎるのである。スキがないのである。わかるかなぁ。場末の喫茶店のピラフのようにご飯が所々ダマになっていたり、部分的に味が濃いところや薄いところがあったりしないのだ。

ダマや味のバラツキはいただけないが、私が求めているのは、もっとB級チックなピラフなのである。福神漬が添えてあるような。具は海老でなくてハムやベーコンでよい。あと、玉ネギとピーマン、ニンジン、マッシュルームくらい。

私の中のベスト・オブ・ピラフは今のところ名古屋・栄のジャズ喫茶『YURI』のピラフかな。これを超えるピラフに出会ってみたい。