永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

カレーうどんは、名古屋めしなのか。

カレーうどんは、名古屋めしなのか。

その問いにきっと、名古屋人は十人が十人「名古屋めしに決まってるじゃないか!」と口を揃えるだろう。

では、その根拠はいったい何だろう。

名古屋のカレーうどんの特徴としては、

①スパイシーで濃厚なつゆ

②つゆに小麦粉を使わない

③コシのある太麺

これらが挙げられるだろう。だから、名古屋めしなのだ、とかつての私もそう言っていたし、記事も書いていた。

現在の私の考えは後から述べるとして、根拠を示すためには、名古屋めしとは何かを定義しなければならない。

さまざまな意見があるだろうが、ここは愛知県と名古屋市などが設立した『なごやめし普及促進協議会』が提唱するものを採用する。そこには、

みそかつ、手羽先、ひつまぶしなど名古屋及び近郊で広く受け入れられ、愛されてきた地域独特のメニューで、家庭や飲食店で広く食されているものです。

とある。

たしかにカレーうどんは名古屋及び近郊で広く受け入れられ、愛されてきたと思う。

しかし、カレー味のつゆで味わううどん、つまり、カレーうどんは、名古屋及び近郊以外でも広く受け入れられ、愛されている。料理としては全国区なのであり、地域独特のメニューとは言い難い。と、書くと、

「関東や関西のカレーうどんと名古屋のそれは別物」と反論される方もいるだろう。

そうおっしゃる方は名古屋以外でカレーうどんを食べたことがあるのだろうか。私は仕事柄、出張が多いのでこれまでいろんな土地でカレーうどんを食べた。

その中には名古屋のようなスパイシーで濃厚なつゆで味わうカレーうどんもあった。それを食べ慣れている人が、「カレーうどんは名古屋めしである」と、それもテレビやwebメディアで見聞きしたらどう思うだろうか。諸手を挙げて賛成するとは思えない。

私も名古屋人なので、「カレーうどんは名古屋めしである」と言いたい気持ちはわかるが、やはり、それはおこがましい。言いすぎだ。

前出の通り、名古屋のカレーうどんに特徴があるのは否定しない。だから「名古屋流カレーうどん」とか「名古屋式カレーうどん」という名称にすればよいのだ。

私がもっとも嘆かわしく思っているのは、本来こうしたことを検証するのがメディアの役割のはずなのに、それせず、盲目的に情報を垂れ流していることだ。

誰もやらないのなら、私がやる。これまで散々名古屋めしについて記事を書いてきた責任でもある。