永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

現場の空気感。

今日は、9月上旬発売のムック本のアポ取り。店のセレクトは、私ではなくその筋の専門家が行った。私の仕事は店を取材、撮影して彼らのコメントを交えながら原稿を書くというもの。

セレクトしたのは全部で8軒。うち2軒に取材へ行くように言われた。残り6軒は電話かZOOMの取材。写真もお借りすることに。

取材先が遠方ということもあり、取材にかかる時間やギャラのことも考えて、そう判断をしたのだと思う。

遠方への取材は、もう10年以上も前から電話取材が当たり前になっていた。その場合、東京のライターがまとめて行うから、私のような地方在住のライターはどんどん仕事が少なくなっていく。

さらにコロナ以降は、ZOOMでの取材も当たり前になってきている。たしかに、電話やZOOMによる取材や借り写真で誌面は埋まる。

しかし、果たして読者に情報以上のもの、例えば、新たな発見や感動が読者に伝わるだろうか。ひょっとしたら、その合理的な手段が雑誌を売れなくしているのではないだろうか。

今日、アポを取ったときに

「電話取材ということは、ウチの料理を食べずに記事を書かれるということでしょうか?」と、ある店主から痛いところを突かれた。

店に足を運んで料理を食べた専門家が店を選んだと説明しても納得はしていただけなかった。そりゃそうだ。

「美味しさというものは、料理の味だけではないと思っているんです。店の雰囲気だったり、その場に居合わせた他のお客さんも全部ひっくるめて美味しいと思っていただけることを私は心がけています」と、店主。

話をしているうちに、ますます会いたくなってきた。そして、その店主が作る料理をどうしても食べてみたくなった。

「取材に行きます。いや、是非うかがわせてください!」

私は独断で取材に行くことを決めた。編集担当に報告すると、店主からそう言われるのは想定していたことで、私さえよければどんどん取材へ行っても構わないということだった。それはありがたい。

記事も、写真も、現場の空気感がそのまま反映されるのである。