永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

エビフライはタモリさんの名古屋イジリから脱却すべし!

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「なごやめし」の一つとして定着しているエビフライ。エビフライはわざわざ名古屋に来なくても、どの地域でも食べることができるのだが、エビフライ=名古屋というイメージが広がったのは、30年以上前。今や大御所タレントのタモリさんが「名古屋の人はエビフライをごちそうだと思っている」と、テレビやラジオでさんざんイジリまくったのがきっかけだった。しかも、ご丁寧に「えびふりゃ~」と名古屋弁に変換して(笑)。

新聞や雑誌、テレビなどのメディアを通じて、タモリさんに真っ向から反論する人はいなかったと私は記憶している。当時、私は中学生くらいだったが、別にエビフライをごちそうだとは思っておらず、「ずいぶん偏っているな」としか思わなかった。ただ、エビフライが好きか嫌いかと聞かれれば、「好き」であることには間違いないが。私の父は西区城西、母は大津橋で生まれ育った生粋の名古屋人で、河村たかし名古屋市長のようなコテコテの名古屋弁だったが、両親の口から「えびふりゃ~」という言葉は一度も聞いたことがなかった。

ある日突然、有名タレントのひと言によって、たとえそれがバッシングであっても、名古屋が注目を集めたわけである。それをチャンスと捉え、名古屋名物として大きなエビフライを出す店が増えて、名古屋名物として認知されたのだ。

ちまみに愛知県の県魚は車エビ。三河湾産の車エビは東京の高級料亭や寿司店でも使われるほど質が良く、全国屈指のブランドである。車エビに限らず、その昔、三河湾では多くのエビが沢山獲れたらしい。西尾市一色町の「えびせんべい」は、明治時代半ばに獲れすぎたアカシエビを主原料として全国で初めて作られたという。このように、名古屋とエビはもともと深い関係は深いのだ。

しかし、いつまでもタモリさんが名古屋をdisったことをエビフライが「なごやめし」である根拠にしていてよいのだろうか。もっとほかの、良い部分を自主的に発信していくべきではないのかと思うのである。

仮に私がエビフライやエビ料理をPRするとしたら、エビが「腰が曲がるまで長生きできるように」と長寿を願う縁起物であることに着目する。「誕生日には縁起の良いのエビを食べよう!」というキャンペーンを展開するのだ。もちろん、子どもの誕生日祝いでもよいが、親の誕生日の方が望ましい。エビフライ以外にも車海老のお造りや塩焼き、天ぷらなどエビづくし料理のコースを用意するのである。

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写真は名古屋市の隣町、あま市のエビ料理専門店『花菖蒲』の「ぷりぷり海老コース」。お造りからはじまり、ミニ鉄板焼きや天ぷら、唐揚げ、塩焼きと5種類のエビ料理が楽しめる人気のコースだ。ここはエビ料理を縁起物として売り出しているわけではないものの、週末には家族連れの客で賑わっている。

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実は冒頭のエビフライの写真もここのメニュー。大ぶりなエビフライ2本とホタテ貝柱フライのほか、刺身やサラダ、デザートなども付いてボリューム満点。また、熱々の石焼き鍋にやや大ぶりなおにぎりと刺身用のホタテ貝柱、そして店内の生けすで直前まで生きていた車海老を入れて、その上からだし汁をかけて食す「石焼き丼」(写真)もココの名物だ。

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エビ料理のPRについてもう一つアイデアを。まず写真を見ていただきたい。名古屋市中区千代田にある蕎麦の名店、『春風荘』の「特製天おろし」である。ご覧の通り、“逆エビ”にした海老天がちょこんとのっている。この様は名古屋城天守閣で燦然と輝く金のシャチホコに見えなくもない(笑)。カレーうどんなどにエビフライを2本刺すよりもよっぽどリアルである。このようにエビ天なりエビフライを“逆エビ”にして、金シャチに見立てた丼やうどんにして売り出すのだ。これは地元の客よりも観光客にウケると思うが、いかがだろう?