永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

明日を今日よりも面白く。

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人生の折り返し地点を過ぎた五十路にもなると、これまでの人生で積み上げたキャリアや経験で世の中を渡っていけると思うだろう。私もそう思っていた。しかし、それは大きな間違いである。

もちろん、役に立つ部分はある。過去に経験した苦労や、逆に感動したことは、その人の血となり、肉となっているのは間違いない。私だってそうだ。でも、血や肉、それも過去に作られたものは、必ず劣化する。しまいには腐って、加齢臭どころか腐敗臭を放つ。

だから、昔、どれだけ輝かしい時代を生きていたとしても、所詮、過去は過去。「あの人は今」的な、過去の人として賞讃されたければ、

「どうぞ、いつまでも過去を生きていてください♡」と言うほかはない。

また、定年まで何事もなく平穏無事に過ごす、という徹底した守りの姿勢も一つの生き方であることは認める。が、定年のないフリーランス、それも人に何かを伝えたり、オノレを表現したりすることを生業とする私には絶対に無理だ。現状維持は死に値する。

血や肉の新鮮さを保つには、「今」に全力を尽くすしかない。目の前にある獲物を狙う、血に飢えた野獣でなければならないのだ。

……と、いくら私が吠えても、若いヤツからすれば、サラリーマンであれ、フリーランスであれ、同じ五十路のオッサンとして見ているかもしれない。いや、間違いなくそう見られているだろうな。そんなヤカラには、

「オッサンが夢見ちゃいけねぇのかよ、バカヤロー!」と、また吠えてやる。いくらでも吠えてやる。たしかに、体力も記憶力も若いヤツには敵わねぇよ。カッコよく、スマートには生きらんねぇよ。でも、明日を今日よりも面白くするパワーは誰にも負けねぇぞ。

「昔のオレはこうだった」なんて話を若いヤツにするオッサンには私は死んでもなりたくない。彼らに伝わるのは、オッサンの武勇伝ではなく腐敗臭だから。

「オレは今、こんなことを考えていて、こんなことをしてる」という話がしたい。若いヤツには過去ではなく、未来を見せてやりたいのだ。