永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

肩書き。2

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社会的信用がある職業は、漫画『ナニワ金融道』や『ミナミの帝王』を読めばわかる通り(笑)、公務員だろう。何せ、一般企業と違って、倒産することはないのだ。だから、金貸しも安心して貸せるというわけだ。

スゴイと思うのは、公務員の場合、元財務官僚とか元経産官僚とか仕事を辞めた後も肩書きとして十分「使える」ということ。まぁ、これはメディアがコメンテイターとして使う際、彼らの発言に説得力を持たせんがために付けた肩書きではあるが。

ところが、中には元○○という肩書きを自ら名乗る者もいる。写真専門学校を出てから就職した広告制作会社に元大企業を定年退職した人が「部長」として入社した。何でも、社長の古くからの知り合いらしく、これまで仕事を紹介してもらったこともあるらしい。社長としては彼のネットワークを利用できると思ったのだろう。

ところが、社会のイロハも知らなかった私から見ても、とても仕事ができるようには思えなかった。広告のコの字も知らないのに、知ったかぶりをするし、常に上から目線で話す部長は私たち若手社員にとっては邪魔な存在でしかなかった。何よりも電話で「元○○の○○(名前)です」と話すのが私たちは気に入らなかった。

元○○という肩書きを自ら名乗る者には注意した方がよい。それは現在の自分に対する自信のなさの表れである。自信がないから過去の肩書きにすがるしかないのだ。

私の周りにはそんなヤツはいないが、例えば、元新聞記者を名乗るライターや元新聞社カメラマンを名乗るカメラマン。たしかに取材力や文章力、撮影テクニックがすぐれているイメージを抱いてしまう。しかし、そんなものは実際に書かせてみないと、撮らせてみなければわからないんだから。まぁ、その肩書きを鵜呑みにして仕事をさせる側もいかがなものかと思うが。

私には人様に誇れるような肩書きなんてないし、欲しいとも思わない。肩書きが仕事をするのではなく、私が仕事をするのだから。