永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

品格を、磨く。

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「ナガヤさんは超大物のライターということにしてありますから、クライアントの前ではそれっぽく振る舞ってください」

ある飲食店の広告の仕事に携わっていたとき、発注元にそう言われたことがある。いや、冗談じゃなくてマジで。そりゃたしかに、私は大物ではないけどさ。だからといって、昨日今日ライターになったばかりの小物とも思ってねぇわ。

『吉野家』の牛丼に例えるなら、あ、最近ラインナップにくわわった「超特盛」が超大物ね。超特盛→特盛→大盛→アタマの大盛→並盛→小盛という順番とした場合、せいぜい並盛か、良くてアタマの大盛くらいであることくらい私だって自覚してらぁな。

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っていうか、そもそも大物ライターの所作って何なんだよ!? 

「昨日、チャンネーとギロッポンのシースー行っちゃってさぁ、そのチャンネーのパイオツがカイデーで♪」なんて、今どき使わないギョーカイ用語をまくし立てればイイのか!?

※そもそも出版の世界ではギョーカイ用語なんて使いません(笑)。

まぁ、そのクライアントのことは大好きだったけど、発注元がバカすぎるゆえに、その仕事から手を引いて発注元とは縁を切ったんだけどね。

あと、過去にはこんなオファーもあった。それも、Facebookで友達にもなっていない人から。

「ナガヤさんに撮影をお願いする予算がないので、撮り方を教えてください」って。

いやいや、それは違うでしょ。たしかに私は飲食店向けにスマホを使っての撮影講座を開催しているけど、それはSNSに日替わりで載せる写真のことであって、

「グランドメニューはお見合い写真のようなものですから、そこは私たちのようなプロにお任せください」って講座の中で必ず伝えているのである。

そもそも、なんで、時間もお金もかけて必死で培ってきたノウハウを教えなくちゃならないんだ?なぁ? アタマおかしくないか? なぁ?←『世界の果てまでイッテQ』のロッチ中岡っぽく(笑)。

で、つくづく思ったのが、

 

 

 

ナメられてんな、オレ。って。

 

 

 

それでこう思ったのよ。もっとオレ自身がこの世界で超有名になって、それこそ大物ライターになれば、こんな風にナメられずに済むんじゃないかって。

くだらないことを要求されたら、

「うるせぇ!この野郎!」って、一喝すればいいんだもん。

それを福田ちづるさんに相談したことがある。

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「(呆れ顔で)あんたねぇ……。そんな……。力で押さえつけてまったら、余計に恨みを買ってまうがね。あんたの考えは間違っとらんのだで、冷静に、理路整然と相手に話せばいいんだてぇ」と、ちづるさん。

名古屋弁を使って多少脚色してあるが(笑)、このようなことをおっしゃったと思う。ちづるさんは超大物タレントだけど、たしかに横柄な態度はとってないわ。そのおかげでブチキレていた私も冷静になることができた。

力、というか、権力を手にしたら豹変する人もいる。まるで自分がにでもなったかのように。どこかの国の総理大臣も然り。そりゃ周りの人間が自分にひれ伏して、忖度しまくってくれたら、偉くなった気分になる。で、この座を奪われてなるもんか!ってなことを考えるわな。

前出のバカすぎる発注先も同じ。仕事のオファーを出した自分がマウントを取ったと思ってやがる。そりゃこっちは仕事をいただいている立場だから、上から目線でこられても従うよ。でも、その前提として、リスペクトできる相手だから従うわけで。バカすぎる相手にはムリでしょ。バカが伝染(うつ)るだけでしょ。

しかし、幸いなことに福田ちづるさんをはじめ、私が大好きな人たちは皆、少しも偉ぶっていない。むしろ謙虚。自分には1円のトクにもならないのに、人のために骨を折ってくださるような、生き方の手本になるような人がいっぱいいる。

私はライターとしての格付けを並盛かアタマの大盛であると自己分析したが、これを撤回する。もう、そんなのはどうでもいい。ライターとしての格よりも、人としての品格を磨かねばならないということに気がついたのだ。パイオツがカイデーとか下品なことばかり書いているので、もう手遅れかもしれないが。