永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

チャーラーの旅。9

f:id:nagoya-meshi:20190417220819j:plain

30歳を境に味覚が変わった。それまで嫌いで食べられなかったものが好きになった。料理だけではない。20代の頃は見向きもしなかった焼酎をメインに呑むようになった。

40歳を過ぎた頃には、逆に食べられないものが増えた。いや、食べたいと思わなくなったという方が正しいな。とくに脂っこいものがダメになった。顕著なのが、こってり系のラーメンである。

それこそ、若い頃は夜中まで遊んだ帰りに『横綱ラーメン』で大盛を食っても全然平気だった。今、同じことをしたら……吐く(笑)。以前、二郎系に挑んでみたものの、麺までたどり着けなかった(笑)。

と、いうわけで、最近ではもっぱら昔ながらの中華そばを好んで食べている。塩ラーメン、という選択肢もあるが、あまりにもあっさりとしすぎていて、食べた感を感じないのである。だから、中華そば。

前置きが長くなったが、今回紹介するのは名古屋市中村区にある『太陽食堂』。有名店なので、ご存じの方も多いと思う。

tabelog.com

1、2年ほど前から近くを通りかかったときなどに立ち寄っていたのだが、少し前に『東洋経済オンライン』で、『フジヤマ55』の澤竜一郎さんを取材したときに、『太陽食堂』のご主人が『フジヤマ55』の系列店出身ということを知ったのである。

toyokeizai.net

そんなわけで、一方的に親近感を覚えた(笑)。しかも、『太陽食堂』のご主人は、私のTwitterをフォローしてくださった。ブログの更新しかTwitterで呟かないにもかかわらず。さらに、先日はTwitterにコメントまでいただいた。4月13日(土)のブログに書いた「チャーラーの旅。8」で紹介した一宮の『一冨士らーめん』に反応してくださったのだ。

私も『太陽食堂』のチャーラーはいつかブログに載せようと思っていた。そこで、Twitterでコメントをいただいたついでに、前に撮った写真が現行のものかどうか確認してもらった。そこで丼が変わっているというご指摘をいただき、あらためて食べに行くと約束をしていた。

f:id:nagoya-meshi:20190417220744j:plain

そして、今日。名古屋駅から中川区へと移動する途中に立ち寄った。店へ着いたのは11時40分くらい。雨も降っていたので、並ばずに入ることができた。これまで開店直後から並ぶこともあったのでラッキーだった。

f:id:nagoya-meshi:20190417221049j:plain

これがメニュー。ラーメンではなく、「中華そば」という表記がイイ。しかも、中華そばと焼きめし、焼き餃子の3種類のみ。以前は味噌ラーメンもあったそうだが、逆にこの潔さがよい。

たしかにメニューが多い方が客にとっては選択肢が増える。しかし、メニューのすべて、例えば、醤油と味噌、塩、つけめん、まぜそばのすべてに力を注ぐことができるだろうかと思ってしまう。私は不器用だから絶対に無理だ。メニューが1種類であれば、他のメニューに注ぐパワーをその1種類に集中できる。

f:id:nagoya-meshi:20190417220819j:plain

私が注文したのは、中華そばと焼きめしをそれぞれ並盛で。まず運ばれたのは、中華そばだった。具材は、焼豚とナルト、メンマ、海苔、ネギと中華そばの王道。

溜息が出るほど美しい。このビジュアルで思い出したのが、『銀河鉄道999』で星野鉄郎が「合成ラーメンだけどうまいや!」と、言いながら食べていたラーメン。アレがめちゃくちゃソソられた(笑)。

こっちは、“合成”ではなく、正真正銘、本物の中華そばである。スープをひと口飲むと、しっかりときいたダシの旨みと醤油の香りが口の中いっぱいに広がる。麺にもスープが絡みまくり、ススるたびに幸せな気分に。

中華そばを堪能していると、厨房から中華鍋を振る音が聞こえてきた。そこに目をやると、中華鍋の米粒が宙を舞っていた。こんなの、旨いに決まってるぢゃないかっ!

f:id:nagoya-meshi:20190417230117j:plain

で、これが「焼きめし」。並盛だが、かなりのボリューム。実のところ、小盛にすればよかったと少しだけ後悔(笑)。特筆すべきは、ご飯のパラパラ加減。さすが宙を舞っていただけある(笑)。

ラーメンと交互に食べても美味しく、それぞれの味を引き立て合っていた。味付けはやや濃いめに感じたが、ここに来る前に撮影でめちゃくちゃ汗をかいたから、ちょうどよいのである。ここ、『太陽食堂』は、インスタ女子ではなく、額に汗かいて働く男たちの方が似合う。

帰り際に、「Twitterでコメントをいただいた永谷です」と告げて名刺を渡した。「そうじゃないかと思ってました。早速来てくださってありがとうございます」と、ご主人。

ご主人、ご馳走様でした。ありがとうございました。機会があれば、是非、取材・撮影させてください♪