女房の両親のことが私は大好きだった。
できることなら、義父母の子供になりたいとさえ思った。
今日、ふと、以前に女房から聞いた話を思い出した。
女房が高校生の頃、自転車を盗まれた。
近くに乗り捨ててあるかもしれない。
と、義父は女房を連れて近所を探した。
その読み通り、自転車は見つかった。
ところが、乱暴に扱ったのか、自転車はボロボロ。
どうしてこんな酷いことをするんだろう……。
女房は悲しくなった。
自宅に自転車を持ち帰り、義父は修理をしながら
「きっと、裕美の代わりになってくれたんだね。
裕美がこんなことにならなくて本当によかった。
ありがとう。ありがとう……」
と、自転車にお礼を言っていたという。
私も義父のような、愛深い人間になりたい。