永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

それでも、私は東京へ行く。

一昨日の夜から女房と口を聞いていない。いわゆる「冷戦」ってやつだ。昨日のブログでも少し触れたが、東京へ出張に行くのを女房も子供も反対しているのが原因である。

一昨日、仕事から帰宅してフツーに話しかけたところ、女房の表情は暗く、落ち込んでいる様子だった。仕事で何か嫌なことがあったのかと思っていた。

「オレが悪いのか?」と、私は冗談まじりに聞いた。すると、女房は頷き、

「東京へ行くから……」と、呟いた。まさか不機嫌の原因が私であるとは想像もしていなかっただけに、返す言葉がなくなった。

「だったら、ずっとそうやって怒ってろ!」と、私はキレて仕事場へ行った。その日は時間をずらして寝室に入ったため、女房と顔を合わせることはなかった。

翌朝、「おはよう」と、女房から声をかけられたが無視を決め込んだ。一昨日、私が話しかけたとき不機嫌な顔をしていたのはいったい誰なんだと思ったのだ。私は仕事場で淡々と仕事をした。女房は女房で黙々と家事をしていたようだ。

東京出張は長男も反対していた。私に直接言いにくいのか、わざわざ長文のLINEを送ってきた。

「養っていただいている身分で生意気なことを言い過ぎているかもしれませんが」と、始まる文面には長男の正直な気持ちが綴られていた。中には私に対して辛辣なことも書かれていた。

後ろ髪を引かれそうになったが、今回の東京行きは、私の今後の人生を左右すると思っている。それを長男に伝えると、渋々ながらも納得してくれた。

 たしかに東京は愛知よりも感染拡大が広がっている。が、ロックダウンしているわけではない。東京駅からは車で迎えに来ていただけることになっているので、新幹線以外の交通機関を利用しない。打ち合わせの時間の前に食事をご一緒することになっているが、大人数での食事ではない。

女房も、長男も、私が感染するかもしれないと心配してくれているのはわかっている。だから、マスクの着用はもちろん、こまめに手指の消毒や手洗いをするつもりでいる。考えられる感染予防対策はすべて講ずる。それでもダメなのか。

「打ち合わせだったら、オンラインでできないのか?」という意見もあるだろう。実際、何度かオンラインでのミーティングはこれまで何度もやってきた。今回は取引先となる会社のトップとの初顔合わせなのである。

やはり、オンラインやメールでは伝わらない部分もある。仕事を依頼する方も、される私も仕事が本格的に始まる前に会っておいた方が良いに決まっている。来年1月下旬にもプロジェクトがスタートするため、この時期になってしまったのだ。

何が悲しいかって、私の今後の人生を左右することに家族が応援してくれないことである。それでも、私は東京へ行く。オノレの人生を切り拓くために。