永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

作り手の顔。書き手の顔。

個人経営の店と比べると、ファストフード店やチェーン店が今ひとつなのはなぜだろうか。

もちろん、使っている食材や調味料も違う。でも、それは重要なことではない。

先日、自宅近くにある『肉定食処 ぎんごんちゃん。食堂』へ行ってきた。何となく、ハンバーグが食べたくなったのだ。

店の周辺には、『ブロンコビリー』や『ステーキ 宮』もあり、もう少し足を延ばせば『びっくりドンキー』や『ステーキのあさくま』もある。いわば、私の住むエリアはハンバーグ店の激戦地なのである。

『ぎんごんちゃん。』は、その中でも比較的新しい店である。それまで訪れたことはなかったこともあり、行ってみようと思ったのだ。私の自宅近くにある店のほか、岡崎や安城、三重県にも店舗があるようだ。

注文したのは、「定番目玉焼きハンバーグステーキランチ」(1090円)。160グラムのハンバーグにご飯、味噌汁、漬物が付く。

その情報と写真を見れば、ごくフツーに思えるが、ソースの種類や付け合せの内容、御飯の量など好みに合わせて細かくカスタマイズできるのだ。

店員さんがカスタマイズの内容が書かれた紙を使って丁寧に説明してくれた。その紙は手書きのものを印刷してあった。

たったそれだけのことで心が和み、チェーン店でも美味しく感じたのである。

個人経営の店の強みは何といっても「作っている人の顔が見える」ことだろう。顔が見えるがゆえに、作り手の思いが味となって伝わってくるのだ。

チェーン店の場合、いくら作り手がその料理にこだわり、愛していても客には伝わりにくい。顔が見えないのだ。『ぎんごんちゃん。』の料理を美味しく感じたのは、手書きのPOPから作り手の思いを垣間見ることができたからだろう。

ひょっとすると、それは文章にもいえることかもしれない。ライターとして書き手の思いが伝わるような文章を私は書いていきたい。