永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

老舗は旨いのか。1

老舗の料理屋と聞くと、創業者が作り上げた味を頑なに守っている。すなわち美味しい店というイメージを抱くだろう。

保守的な名古屋ではそれが顕著だと思う。「◯◯(老舗の料理屋)なら間違いないでよ」と、地元で何度耳にしたかわからない。老舗信仰と言ってよいほどもてはやされている。

そもそも、老舗とは「数代続いて繁盛し、有名になっている店」や「昔から長く続いて信用ある店」という意味らしい。前者の「有名になっている」は、いろんな解釈ができる。

オーナーが松崎しげるのようにガングロで有名な洋食店もあるし、金ピカのスーツに身を包んだ社長がいる串カツ屋もある。これらは味云々よりも店主のキャラの方が有名であると言ってもよい。

また、後者の、長く続いている=信用できるは正しいとは思う。ただ、「長く」とは何年のことを指すのか。実は定義されていないのである。それではいろいろ不都合になるということで、東京商工リサーチは30年以上事業を行っている企業を老舗としているようだ。

ということは、私は26歳のときにフリーになって、今年で27年。あと3年で老舗ということか。30周年を迎えたら、屋号を『取材屋』から『取材屋本舗』に変えようかな。その方が老舗っぽいし(嘘)。

30歳で店を出して、60歳を過ぎても厨房に立っていたら、1代で老舗ということになる。何だか、3代、4代と続いてきた店よりもありがたみがないのは否めないな。もっとも今のご時世で10年続けば十分スゴイのだが。

だいぶ話が逸れたな。老舗は旨いのか否かという話。結論から言えば、旨い店もあればそうでない店もある、ということになる。そう結論づけると「ちょっと、待て!」と思う方も多いと思う。

なぜなら、新しくオープンした店も、旨い店もあればそうでない店もあるからだ。ただし、新しい店の場合はすぐに潰れる。一方、老舗は先代や先々代が築き上げた信用があるから、ある程度はもち堪えることができる。

老舗については次回も書こうと思う。


※トップの画像は、『山本屋 大久手店』の「親子味噌煮込みうどん」