永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

味噌かつといえば、定食?串?丼?

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味噌かつ」と聞いて、皆様は何を想像するだろうか?

揚げたての豚かつに豆味噌ベースの甘辛いタレがドバッとかかったものをイメージされる方が多いと思う。

実は、味噌かつとしてカテゴライズされるものがほかにもあるのだ。

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まずは、味噌串かつ。写真は『串カツ 青山七丁目』の「味噌串カツ」(5本500円)。

味噌かつの発祥は定かではないが、戦後間もない屋台で、牛スジやこんにゃくを豆味噌で煮込んだ「どて煮」の鍋に串かつを浸して食べたのがはじまりという説がある。揚げ置きして冷めてしまった串かつをどて煮の鍋で温めるためでもあり、実に名古屋らしい合理性を感じる。この説が正しいとすれば、味噌串かつこそが名古屋めしの代表格、味噌かつの原点ということになる。

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そして、定番の味噌かつ定食。お酒に合うということは、ご飯との相性も抜群ということである。ゆえに定食屋や洋食店が味噌串かつに目を付けて、定食スタイルにしたのだろう。実に自然な流れである。

写真は『名代とんかつ 八千代 味清』の「名代ヒレかつ定食」(1690円)。ご覧の通り、味噌ダレは別皿で出される。とんかつ専門店や洋食店では、このスタイルが多い。味噌ダレが別なのは、揚げたての衣のサクサク感を損ないためだろう。

しかし、味噌かつ専門店の場合、最初から味噌ダレがかかっているところがほとんどだ。いちばん有名なのは、『矢場とん』だろう。見た目に強烈なインパクトがあり、味噌かつを食べたことのない人にとっては味の想像がつかないと思う(笑)。当然、衣のサクサク感はないが、濃厚な味噌ダレが染みまくった衣もまた旨んだよな、これが♪どちらが好みかと尋ねられたら、「どっちも♡」としか答えようがない(笑)。

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最後にもう一つ、味噌かつ丼だ。味噌かつとご飯を別々ではなく、一つにしてしまっても十分に旨いのである。味噌ダレと豚かつが互いに持ち味を生かし合い、驚くべきポテンシャルを発揮するのが味噌かつ丼なのだ。

写真は『キッチン なごや』の「でら旨ロースカツ丼」(1210円)。ここは味噌ダレではなく、自家製のどて煮がたっぷりとかかっている。牛スジの深みのあるコクがくわわったどて煮は濃厚な味わい。ゆえに豚かつの下に敷かれたキャベツの千切りが箸休めとなる。口の中がさっぱりすると、またご飯を掻き込みたくなる。もう、永遠に食べられるのではないかとさえ思える(笑)。定食と丼、どちらが好みかと尋ねられたら、これまた「どっちも♡」としか答えようがない(笑)。

味噌かつの味の決め手となる味噌ダレの味付けは、店によってさまざま。とろみのあるタレもあれば、サラッとしたタレもある。八丁味噌を使っている店もあれば、そうでない店もある。また、味噌かつ丼も、キャベツを敷く店もあれば、敷かない店もある。とくにルールがあるわけではなく、多種多様。そこが楽しいのだ。