永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

「メイク&フォト」は、最高のエンターテイメントである。

メイクアドバイザーの山村えり子さんが「マイナス7歳若見えメイク」を施して、カメラマンである私が「ツヤ肌ライティング」を用いて撮影するというコラボイベント「メイク&フォト」。その原点は、SNSでよく見かける画像加工アプリを使ったプロフィール写真だった。

画像加工アプリは私も使う。ただし、料理の写真に。iPhoneのカメラアプリは、デジタル一眼と違って撮影時に明るさを調整したり、背景をボカしたりできないので、撮影してから加工せねばならないのだ。だから、使う。

しかし、ポートレート写真に用いるアプリは、スッピンでもメイクを施したように加工できる。それどころか、目を大きくしたり、フェイスラインをシュッとさせたりすることもできる。

いずれも加工したかどうかわからないくらいのものであれば、写真のプロである私もアッパレ!と思う。しかし、少女漫画のような大きな瞳と尖った顎に加工して、もはや原形をとどめていない写真もよく見かける。それも、若い女性だけではなく、40代や50代の女性でもそういう人はいる。年齢は関係ないのだ。

せっかくSNSに載せるなら、キレイな自分でいたい。シワも、シミも、タルミも消したい。小さかったり、細かったりする目を、丸みを帯びた顎を何とかしたい。アプリを使いたい気持ちも解る。アプリを使うことが悪いこととは思っていない。それは誤解しないでほしい。

山村えり子さんと意見が一致したのは、「プロによるメイクの力と写真の力を知ってもらおうぜ!」ということだった。さらには、「アプリで加工した写真では得られない喜びと発見を味わってもらおうぜ!」と。

言うまでもなく、メイクは実にアナログ的な作業である。とくに山村えり子流のメイクは、彼女がよいと思っているメイクの押しつけではなく、その人らしさやその人の美しさを引き出す。ゆえにアナログさ加減がハンパない。

一方、写真も使う道具こそデジタル化されているが、撮影という行為はアナログそのものだ。照明機材をセッティングしたり、明るさを調整したり、何よりもその人のいちばんキレイに見える角度を瞬時に見つけたり。

メイクも写真もアナログ的な作業ゆえに、指先ひとつで瞬時に加工できるアプリと違ってとても時間がかかる。こればかりは何ともならない。しかし、現場で撮影する側としては、そこに楽しさがある。これは山村えり子さんも同じだと思う。イベントに足を運んでくださるお客様もそうだと思う。

また、前回のイベントでは、当日に美容院へ行ったり、普段はあまり着ないスーツで来られたりしたお客様もいた。普段なかなか行けないお店でのランチ会に誘われたとき、服や靴をどうしようかとか考えるだろう。男の私でさえも考える。「メイク&フォト」の前に美湯院へ行くのもそれと同じで、そのお客様は、とても楽しく、豊かな時間を過ごしたに違いない。

「メイク&フォト」は、メイクをして、写真を撮るという単なるイベントではなく、最高のエンターテイメントなのである。この楽しさを一人でも多くの方に体験してもらいたい。なお、「メイク&フォト」イベントは、10月、11月、12月と3ヶ月連続開催が決定!詳細はいずれ告知させていただく。お楽しみに!

 

※写真は、先日、山村えり子さんとの打ち合わせついでに撮影した1枚。現在、屋外での「メイク&フォト」も鋭意企画中!