永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

冷凍チャーハン論。

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写真は、セブンイレブンで買った冷凍の『すみれチャーハン』。原稿の〆切が集中する月末は、集中力が途切れてしまうので昼食は外で摂らず、もっぱら家メシ。とはいえ、いちいち作るのも面倒くさいので、インスタントで済ましている。

これはセブンイレブンへ行ったときに、たまたま見つけた。味の素やニチレイなど大手メーカーのチャーハンも食べたことがあるが、全然納得がいかなかった。だから、この商品もまったく期待していなかった。

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これがパッケージ。載っている写真はかなり旨そうに見える。名古屋住まいなのでよくわからないが、『すみれ』は札幌を代表するラーメン店らしい。ここはチャーハンも有名なのだろうか。

いずれにしても、札幌でしか食べられなかったものがこうしてコンビニで簡単に購入できることが素晴らしい。今はコロナ禍で旅行どころか外出そのものを控えているだけにより実感する。

ひょっとすると、これからの飲食店が生き残っていくには、店内での飲食とテイクアウトのほか、味を再現した商品を開発して通販事業を展開するのも一つの方法かもしれない。コンビニとのタイアップはほとんど儲けにならないという話も聞いたことがあるので。

イマドキの冷凍チャーハンは、袋のままレンチンができる。フォークで袋に数カ所穴を開けて、裏面を上にレンジへIN。パッケージに記載された時間を設定するだけ。

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これが完成した『すみれチャーハン』。緑色の物体はグリーンピース。それ以外に青系の色がないのがやや寂しい。でも、肝心なのは味だ。

スプーンですくってひと口食べてみる。食感はしっとりもしているが、どちらかといえばパラパラ系。そんな食感とともに、チャーシューの旨味やいろいろな調味料が混ざり合った複雑な味わいが広がる。

実店舗の味を知らないので、どれだけ味を再現できているのかはわからないが、私が作ったチャーハンなんぞとは比べ物にならない。巷の冷食チャーハンよりも絶対に旨い。ヘタをすると、そこいらの中華屋よりも美味しいかもしれない。

ただ、何かが足りないと思った。それは何なのかと考えたとき、一つの結論に達した。それは、チャーハンを食べるときのシチュエーションである。例えば、中華料理店独特の、食欲をそそられる匂いだったり、店主が中華鍋を振る音や食材を炒めたり、揚げたりする音。それがないのである。

チャーハンではなく、スイーツだったら、物足りなさは感じないと思う。冷凍チャーハンは、ライブを収録したCDに似ている。やはり、ライブの醍醐味は参加、すなわちその場に居ること。チャーハンは舌だけではなく、耳や目から楽しむものでもあるのだ。