永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

下請けとパートナー。

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話を聞いて、写真を撮る。人と会うことが私の仕事だと言っても過言ではない。ありふれた言葉になってしまうが、人々との出会いは私にとっては宝である。

最近、よく考えるのは、取材に限らず、どの仕事もその人の人格が作るということ。だから人格を磨け、と言いたいのではない。そりゃもちろん、磨かないよりは磨くに越したことはないが。

「人格が仕事を作る」とは、自分自身の今の人格が仕事を引き寄せるという意味でもある。さらには、写真にしろ、文章にしろ、仕事の依頼主と私の人格が交わり合って創り上げられる。

私のブログやSNSが出会いのきっかけとなることも多い。本当にありがたいと思っているが、中には私の存在を下請けとしか見ていない人もいた。出会ったばかりの頃は、私の写真や文章に触れて、共感してくれたり、ときには意見をくださったりもしたのだが、それは私に近づくための方便だったとしか思えない。

たしかに、私は下請けには違いない。その人が興味があったのは、写真や文章のクオリティや私の考え方よりも、コスト。言い換えるなら、自分がいくら儲かるのかというだけ。それがわかったから、関係を自ら切った。

その分、売り上げは減ったものの、まったく後悔していない。そのまま仕事を続けていても、何も生み出さないからである。それはカメラマンとしても、ライターとしても、死を意味するのだ。

その人から10万円で下請けになるよりも、5万円のギャラで私と一緒に何かを創り上げたいという人のパートナーとなった方が私は嬉しいし、やり甲斐を感じる。だから私はいつもお金がない(笑)。でも、それでイイのだ。

今、私にはそのようなストレスの元となるような面倒くさい人間関係はない。その中で私にしかできないことをやらせていただいている。本当にありがたいことである。