昔ながらの中華そばが好きだ。五十路のおっさんにとって、豚骨や醤油豚骨はキツイ。どうしても、食後に胃がもたれてしまう。
だから、遠方へ出張するときは中華そばの美味しい店を探している。外出のついでに探した店に行くというのも「ひとり飯」の楽しさだろう。
写真の中華そばは、先月、岐阜県恵那市へ出張したときに食べた一杯。地元では有名だと思われる『あきん亭』の「あきん麺」。見ての通り、分厚いチャーシューが4切れも入っている。
多治見や可児など岐阜県の東濃エリアには、このテの中華そばを食べさせてくれる店が多いような気がする。以前、東濃在住の友人、奥村真史さんが
「東濃エリアはとにかく保守的なんですよ。とくにラーメンはそれが顕著で、つけ麺やまぜそばの店すら少ないんです」と、話してくれた。
そういえば、愛知県一宮市もその傾向はあるかもしれない。東濃と比べて人口が多いので、つけ麺の店もあるにはあるが、昔ながらの中華そばの店は幅広い世代に支持されているもんなぁ。
おっと、『あきん亭』に話を戻そう。地元でも『あきん亭』といえば、分厚いチャーシューが有名だろう。地元ではない私もそれを目当てに店へ足を運んだのだから。
たまたま通りかかった店で、私はチャーシュー麺やチャーシュー丼を注文しないことにしている。分厚いチャーシューは角煮のようなトロトロの食感が醍醐味である。
ところが、煮込む時間が短かったのか、噛みきれないほどかたくて、味もまったく染みていないチャーシューがのる店が多々あった。
その点、『あきん亭』のチャーシューは、口の中に入れたらバラバラにほぐれてしまうほどやわらかい。しかも、チャーシューを盛り付ける際に、赤身が多いものと適度に脂身が入ったものをバランスよく選んでいる。この心配りも重要なのだ。
チャーシューといえば、数年前から低温調理したものも見かけるようになった。誰も言わないので、あえて言わせてもらおう。あれ、いったいナニが美味しいのか私にはさっぱりわからない。
そりゃ、やわらかいし、肉本来の旨味はある。それ以上でもそれ以下でもない。チャーシューはラーメンの具材の一つにすぎないが、チャーシューが旨いラーメンを食べさせてくれる店はだいたい流行っている。チャーシューの美味しさは、タレの味と肉の旨み、食感で決まるのだ。
「低温調理のチャーシューは、インスタ映えするんですよ。インスタで人気となった店のマネをしているだけです」と、あるラーメン店のオーナーが話してくれたことがあった。美味しいことと、インスタ映えすることは必ずしも一致するわけではないのである。