永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

企画力と好奇心。

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ライターに求められることについて考えてみた。文章の表現力?もちろん、それは重要。と、いうよりはプロなんだから、書けて当たり前の世界。あー、アタマが痛い(笑)。でも、素人さんでも文章が上手い人はいくらでもいる。そういう人とプロのライターはどこが違うのか。

1つは、企画力である。何か記事のネタになるものはないかと、24時間365日ずっとアンテナを張り巡らせている。私の場合、取材先の料理人や友人との何気ない会話や、ふと思ったことからネタが生まれることが多い。

アンテナがビビッと反応したとき、瞬時に記事の構成や写真まで頭の中に浮かぶ。それに基づいて、企画書を書く。掲載された記事がよりリアルに浮かぶほど企画が通る。編集担当にその面白さがしっかりと伝わり、共有できるということだろう。

「どうやったら、そんな力を身につけることができるのか」と聞かれても、うまく説明することができない。メディアの仕事をはじめた23歳のときから、そういう習慣になってしまったとしか言いようがない。

そういえば、撮影は別として、編集部から依頼を受けてライターとして取材に行くことはほとんどなくなってしまった。自分でネタを出して、それを通して行くケースがほとんどなので、結果的に自分の好きなことや興味があることがそのまま仕事になっている。そういう意味でもライターにとって企画力は必須なのである。

もう1つ。取材力につながる好奇心である。何でもかんでも興味を持つ必要はない。自分が本当に好きなこと1つだけでよい。私は料理が好きというよりも、それを作る人の方に興味がある。もっと言うと、料理に限らず、何かを作る人が好きなのだ。いや、人そのものが好きと言ってよい。

ライターの仕事はさまざまなジャンルに分かれるので一概には言えないが、私の取材法、というか、取材相手へのアプローチは、全肯定とリスペクトが基本。とは言っても、読者を代表してこの場にいて、取材相手の話を聞いているというスタンスを崩してはならない。同じ料理人という立場で全肯定し、リスペクトしたら提灯記事になってしまうのだ。

もちろん、これまで取材した人の中には、私と考え方や思いが違う方もいた。興味が薄れるかといえば、むしろ逆。ますます興味が深くなり、なぜそう考えるのかを根掘り葉掘り聞く。その中から少しでも共感できる部分を探し当てる。その作業がたまらなく好きなのだ。

ライターはやはり、取材という作業があってこそだと思う。『取材屋』と名乗っている以上、そのクオリティを高めていく。取材によって得られた情報をただ伝えるだけではツマラナイ。取材相手からライブで感じた熱量をも読者に届けたい。いつもそう思いながら原稿を書いている。