永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

『北京本店』と『麺屋はなび』。

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昨日のブログで、取材時に聞くと思いっきり萎えてしまう「企業秘密」という一言について書いた。

愛知県安城市の『北京本店』といえば、地元の人で知らない人はいない「北京飯」が名物の人気店。私は5年前に初めて店へ行って取材をさせてもらった。↓それが、この記事。

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記事の中では割愛しているが、味の決め手となる北京飯の「タレ」について、入っているものをすべて教えてもらった。

「食材も調味料もとくに変わったものを使っていませんので、家庭でも簡単にできると思いますよ」

 と、店主の杉浦充俊さんはおっしゃった。が、あの絶妙な卵のとろみ加減や、ラードでカラッと香ばしく揚げた豚の唐揚げを作るには、素人では絶対に無理だ。

北京飯は『北京本店』が発祥の店であることは間違いない。が、『北京本店』がある安城市やその周辺の岡崎市では北京飯という名前ではないものの、似たようなメニューを出している店もある。

了見の狭い私なら、訴訟も辞さない。いや、マネされるのを未然に防ぐため、商標登録して商品を守るだろう。しかし、杉浦さんは静観しているどころか、歓迎しているように思える。

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それは、名古屋市内どころか人気は全国にまで広がった台湾まぜそば」を生み出した、名古屋市中川区『麺屋はなび』の新山直人社長も同じだった。

「どんどんマネをすればいい。マネをされればされるほど元祖であるウチの台湾まぜそばがより光り輝く」と、おっしゃった。

『北京本店』と『麺屋はなび』の両店は、コンビニや食品メーカーとのコラボ商品の監修に熱心なのも共通している。ある店でコラボ商品を監修したときに支払われるギャラについて聞いたことがある。

ここで具体的な金額を明言するのは控えさせていただくが、あまりの安さに驚いた。ハッキリ言って全然儲からない。ただ、パッケージに商品名と店名がデカデカと載るので、PRにはなる。両店ともそれを目的としているのだろう。

タレを「企業秘密」としない店は、目の前の売り上げよりもその先を見据えている。そりゃ流行るはずだ。

明日のブログでは、コンビニ大手の『ローソン』で販売中の「北京飯」の食レポをお届けする。お楽しみに!